⑤住み替えという選択肢
今回は「住み替え」について話していきます。
ローンは借金です。
特に住宅ローンともなれば35年ローンが基本ですから、一生モノの借金になります。
一番最初の賃貸VS持ち家論争で、賃貸派の言い分として、
持ち家は気軽に引っ越すことができず、近隣トラブルとも一生の付き合いになる。
というものがありました。
これは、半分間違い、半分正解です。
半分間違いというのは、持ち家の場合、売却、人に貸すなどの方法が取れるからです。
急な転勤が決まって持ち家を離れなければならない「大迷惑」な事態に陥った場合、このどちらかの方法を選択することができます。
家はそのまま残しておいて、転勤先の家賃と持ち家のローンを払い続けることもできますが、よほど金銭的に余裕があるか、転勤先の家賃補助で賄えるとかでなければ、負担が大きすぎます。
それに家というものは人が住んで手入れをしないと劣化が進んでいきます。
人が居住することで傷むこともありますが、むしろ空き家を放置する方が劣化は早いです。
半分正解というのは、気軽に引っ越すことができない、という点です。
一生モノの借金を背負ったわけですから、それを放り出して逃げることはできません。
売却や人に貸すということを決めても、まずは不動産会社へ赴いて仲介の依頼をしなければいけません。
家の価値を査定し、手数料などを上乗せして賃貸に出し、買い手、借り手がつかなければ値下げする、という手間がかかります。
それで売却できた場合でも、一定期間は家本体や設備に対して責任が生じるため、連絡があれば対応する必要があります。
売却時にローンの残債があればそれを清算する必要もあります。
4,000万で購入した家を数年後に3,300万で手放すことになれば、借金が残ることもあるでしょう。
賃貸を選んで人に貸せた場合でも、エアコンや給湯器などの設備が故障すれば家主持ちで修理、交換の必要があります。
その際、家主の現地での確認が必要であれば遠方から交通費を払って足を運ぶことになります。
借り手がついた場合でも、その方が引っ越してしまえば、また次の借り手を探す必要があり、家賃の入らない空白期間が長いと赤字になることもあります。
上記の通り、気軽に売ったり貸したりできるわけではありませんが、計画的に住み替えを考えることはできます。
高齢になって階段の上り下りが辛い、夫が先立って子供たちも独立して家が広く感じてしまったなどの理由で、戸建てを売却して暮らしやすいバリアフリーのマンションを検討する人は多いです。
その場合、居住中であっても不動産業者の査定や購入希望者の内見に応じることができれば、住みながら売却を待つことができ、売れたタイミングで次の引っ越し先へ入金し、引っ越していくという動きができます。
数年で手放すとなればローンの残債が残る可能性がありますが、20年30年住んでいれば、仮に35年ローンで繰り上げ返済を一切していなくても、売却益と相殺できるでしょう。
但し、当ブログ③の通り、資産性を重視した家を購入したことが前提にはなります。
つまり、持ち家であっても「一生この家から離れられない」という、呪いめいた考えは持たなくていいのです。
かといって安直に、もし持ち家を離れることになったら「売ればいい、貸せばいい」という不動産屋の言葉に騙されてはいけません。
相応の手間とコストとリスクはあるということをお忘れなく。